暇を持て余した精霊の遊び

 明日晴れますよ、と私の髪をいじりながらヒメが言った。

「なんで?」

 仮にも精霊。なにがしか私の知らない力でもあるのだろうか。そう思って聞くが。

「あーしたてんきになーれ」
「あぁ……」

 どうやら、知らない力を使ったわけでも新たな力に目覚めたわけでもないらしい。
なんとなくスマホを取り出して調べてみる。
 
「天気予報じゃ曇りだよ」

 残念ながら予報は違うことを言っている。

「もしかして、ヒメよりも機会を信じるってことですか?」
「そりゃあ」

 人間的じゃなく、なおかつ神聖な存在だとしても、現代技術には勝てないだろう。ましてや適当なお遊びだ。

「先輩はわかってないなぁ」

 どうやら髪で遊び終えたらしく、ヒメは私の前へと飛んでくる。上下は逆で、ヒメの陰で暗い。

「何はともあれ明日はカンカン照りなんですから、先輩はきちんとSPF50のPA++++の日焼け止めをきちんと塗っておくことです」
「そこは思いっきり科学なんだ」
「もしかして加護をご所望ですか」
「それ、日焼け以外にも効かない?」
「さぁ、どうでしょうね?」

 そんな話をしながら、今度は私の膝の間に座り込んだヒメの髪をいじる。左右の髪を解いて、一つにまとめるか、アップにするか、コテで巻くか。
 なんにしたってヒメには似合わない気がする。
 私と違って精霊様なんだから。

「先輩?」
「んー」
「どうかしました?」

 少し心配そうな声は、私が一切動かないことに対してだろう。
 なんだかあーと声をあげながらふっとよそを見る。心華のベレー帽が目についた。

「いや、明日は帽子でも被ろうかなって」

 そんなことを言いながら、ヒメの髪を上にあげる。

「だってカンカン照りなんでしょ」

 明日涼しいようにしておくか。
 そんなことを考える私にヒメは先輩……と声を漏らしながらいう。

「いや多分曇りだと思います」
「お前さぁ」

2022年04月20日公開
2023年01月08日更新