会話文のみ
「水奈瀬って、単純作業向いてなさそうやんなぁ」
「んだよ急に。しみじみと」
「いやな、うち最近運送業者のさ、仕分けスタッフのバイトしてるんや。んでお前みたいなんは向いてへんやろなぁって」
「そんなにか?」
「いや知らん、適当」
「……」
「そういえば、こないだおもろいことあったで」
「おもろいこと?」
「うん。他は知らんけどうちのバイト先ではなく、なんやベルトコンベアとかで荷物が流れてくんねん。荷物には番号が書いてあるから、その番号を同じ番号の紙が貼ってある台車みたいなんに積んでく、ってのが主な作業なんや」
「へー」
「んで、当たり前やねんけど重たくて大きい荷物が下、軽くて小さいのが上、みたいなルールがあるんよ。他には飲み物は逆向き横向きで詰んじゃだめよーとか、お花とかもそうやな」
「ふーん」
「ほんで、ワレモノとかの表示はあんま信じたあかんのよ。いやなるだけ信じるけど、品名見て大丈夫そうなら無視することも多いかな」
「なんで?」
「いやー、言い方悪いけど利用者が保険でかけてることあるけど、そんなんばっかでいちいち全部を適切に置いていくなんて無理やもん」
「あー」
「まぁ、なるだけ表記通りにはするよ。でもてんてこまいな時にめっちゃ荷物が来たら見てられへん時もあるんよ……ほぼバイトと契約社員、あとは派遣で回してるし」
「大変だな」
「うん、常に人手不足やもん。しかも研修期間1日やからな、なんもわからへん」
「ははっ、最高だな」
「嫌味なやっちゃな、まぁそこはあんま本題ちゃうんよ。さっき言った通りなるだけ重たいもんを下に置くねんけどな、飲みもんとか、家具を除いたらぱっと見で重さがわかるのなんてほぼないんよね。もー軽そうやと思ったら米とかとか、平気であるけど箱は簡素なん多いし……あと郵便みたいに投函されて届くやつあるやん? あれ重さ5kgくらいまで行けるから軽いと思ったら重かったり、あとよく鉄の塊とかくるんよ。あっ、比喩やないで? ほんまに鉄がくるんよ」
「はー……すごいな」
「で、まぁ重いなぁって思いながら積み込むわけよ。んで、こないだそこそこ大きめの箱があったんだけどなんかずっしりくる重さなんよ」
「へーどんくらい?」
「10kg前後ちゃうかったかなぁ、なんかまぁ重いなぁって思って簡素な箱で、取扱注意だけ貼っててなんやこれって品名見たんよ。したら、みーちゃんって書かれててん」
「……へー」
「箱は猫やったらすっぽりくらい、犬やったら中型犬くらいは入る、大型犬もなんやいろいろ工夫したら入りそうなんや。なんや、怖なって下の方において、上にすぐ荷物置いて見んようにしたんやけどあれはなんやったんやろなって、ふと思い出すねん。同じくらいの箱を見るとなぁ、みーちゃんってなんやろって思って調べてまうねん。なんや、おもちゃの人形とかにそんなんないかなぁとかさ、本のタイトルになんかそんなんないかなぁとか、まぁ色々調べるけど出てこーへん。あれはほんまになんやったんやろなぁ……」
「……」
「どや、おもろいやろ?」
「どこがだよ!!! 本当にあった怖い話的な奴だろそれ!!!」
「けっけっけっ。んじゃ、うちバイトやから」
「おまえ……人の心が無さすぎる……」
「今度お前んところにみーちゃんって荷物くるかもしれへんなぁ」
「ふざけんなよ……」
2022年12月02日更新