鮮やかな雛菊

東北ずん子と足立レイ、歌
一時間で書き切るものだったので誤字脱字、誤変換、変なところも残したままです

 学校へと向かう道すがら遠くに、鮮やかなオレンジを見た。
 その子の名前を足立レイという。
 この街では少し有名な、アンドロイドだ。

 

 一時間目、板書をしながら来る時に見た足立レイの事を思い出す。
 私にとって彼女は、なんだか少し不思議に思うのだ。友人にもアンドロイドはいるものの、違うのだ。
 なんというか、彼女はその、普通のアンドロイドよりも人間的ではない。
 それが、不思議なのだ。

「じゃあ、次東北」
「あ、はい」

 思考が途切れ、現実へと戻ってくる。
 オレンジを思考の端に置いて、教科書へと向き合い、立ち上がり、読み上げる。

「うつくしきものーー」

 彼女も、誰かにとってはかわいらしいもの、なのだろうか。
 そんなことを考えながら読み続ける。
 なんだか、いつもと違ってはやく授業が終わればいいのになんて思った。

 

「やーっと終わった」

 そんな言葉が聞こえて、そうだ終わったんだと思考を戻す。

「うん、終わったね」

 そんな事を話しながら鞄に教科書を詰めていく。そんな姿を見ながら隣に立つ友達はいう。

「……ずん子今日ぼーっとしたわね」
「え? そう?」
「うん」

 すっとぼけては見たものの自覚はあった。

「……テスト勉強してるから、かな?」

 それでもなんだか誤魔化してしまうのだ。

「あぁ、それもそうね。私もしなきゃ」

 そうして二人で下駄箱まで向かう。

「じゃあまたね」
「うん、またね」

 そういって手を振りながら、考える。
 なんだか、帰って勉強する気にはならない。少しぶらぶら歩いてしまおうか。
 いやでも勉強もすべきだろう。それに今日は買い物を頼まれている。
 少しだけ葛藤して少しだけ、長い道を歩こうと決めた。近くの小高い丘の遊歩道に繋がる道。あそこなら20分程度の寄り道だ。
 このくらいなら、問題ないだろうと思う。
 それに、テストの点数が下がったとしても自己責任だ。自分で責任を取れるならいいだろう。
 そう言い聞かせて歩き出した。

 

 ふと、空が暗くなっている事に気づいた。
 どうやらダラダラ歩いてしまっていたらしい。
 20分の寄り道が、一時間程度の寄り道になっていた。
 急いで帰らないとと思うったところで、遠くで歌声が聞こえた。
 英語の歌だ。
 掠れた、機械的な声。
 吸い寄せられるように声の聞こえる方に、ただただ向かう。
 山の方へ、上へ上へ。
 展望台とも言える、少しだけ整備されたところに出た時、夕日が目に刺さり手で光を遮る。
 何度か瞬きをした後に少女というには些か大きな影が見えた。

「ー……ーー……」

 それが、あんまりにも美しくて、ただ、黙ってそこに居続けた。聞き惚れてたのか、見惚れていたのか、圧倒されたのか、よくわからない。
 それでも美しかった。
 階段に座り込み思う。
 明日からも、私は彼女に対する考えは特に変わらないだろう。
 でも、彼女の歌声のことをまず思い出すのだろう。
 鮮やかなオレンジと共に。
2022年01月29日公開
2022年12月29日更新