柚子色の誕生日

紲星あかりとフリー(水奈瀬コウ)、冬至、お祝い
一時間で書き切るものだったので誤字脱字、誤変換、変なところも残したままです


 普段、ご飯を食べてから風呂に入る。
 それでもたまにその順番が入れ替わって、そんな日がたまにあるのが好きだった。
 ほかほかの体で、綺麗な服に身を包まれて、リビングでご飯が準備されてる。
 贅沢だ。

「あがりました〜」

 脱衣所の扉が開いた音で伝わってるだろうに、なんだか嬉しくてわざわざそんな声をかける。
 そんな言葉に同居人たる水奈瀬コウはわざわざ返事をしてくれた。

「柚子風呂どうだった?」
「んーあったまった……」

 気の抜けた声でそう返事をするとだろうねと笑われる。
 ついつい長居してしまったから少しのぼせてしまったみたいで、頭がポヤポヤとする。
 自分の席について水を一杯飲んだ。

「カボチャの煮物もあるよ」

 そういいながら鍋からカボチャの煮物を器に盛り付けてるのが見えた。
 あぁ、そういえば冬至に食べるんだっけか。

「わーい、私好きなんですよ」
「知ってる」

 そう言って、彼は私の前にご飯を置き席についた。

「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」

 揃わない挨拶をしながら二人でご飯を食べ出した。
 ご飯はつやつや輝いてて、豚汁は具沢山で、カボチャの煮物は甘くて、鮭のムニエルは香辛料が効いてて、全部が全部美味しい。

「はー、幸せです」

 つい口から出た言葉。

「ん、まぁわかる」
「……へへ」

 いつもなら大袈裟なといいそうな彼も同意してくれるのがなんだか恥ずかしくてうれしかった。

「にしてももう、後ちょっとで年が変わりますね」

 なんだか照れ臭くてわざとらしく話題を出す。

「10日もないね」
「早いもんです」
「ほんと、早いもんだ」

 なんだか、誕生日になるといつもこんな会話をしている気がするが、実際一年は早い。
 なんだか、あっという間に死んでしまいそうで少し悲しくなる。

「来年もよろしくお願いします」

 ついそういうと彼は笑う。

「まだ早いなぁ」
「気持ち的にはもうクリスマス通り越してる感じです」
「それは、わかるな」
「でしょー」
「でもまたクリスマスはクリスマスでお祝いするんでしょ」

 そう言って彼は豚汁を啜った。

「……そりゃそうですよ。チキンも予約したんですから」
「だね」

 小さなことなのだが、誕生日とクリスマスを分けてくれるのがどうにも嬉しい。
 実家にいた頃は一緒くたにされがちだったからだろうか。
 そんなふうに考えているうちにご飯は残り少なくなっていた。コウさんはすでに食べ終わったようでごちそうさまと小さく言って食器を片付ける。
 私も少ししたら食べきって、ごちそうさまでしたと言って食器を片付けに行った。
 自分の分の食器と、鍋なんかを洗い終わったようで濡れた手をタオルで拭いていた。
 そしてポツリと一言。

「ケーキも用意してるから、それ食べてからにすればよかったな」
「洗い物ですか?」
「うん」

 いつもは洗い物はなるだけ溜めないようにとそれぞれが使ったらすぐ洗うようにしていたのだが、食後のデザートがあるなら確かに合わせてもよかったかもしれない。

「まぁ、それくらいなら私自分の分と合わせてやりますよ」

 せいぜい二皿とフォークが二本、あとは包丁くらいしか洗い物は増えないのだから。

「そう?」
「はい、それよりも今年のケーキはどんなのですか?」

 毎年コウさんは私には相談せずにケーキを選ぶ。別にそれが嫌ということはなく、むしろいつも美味しいものばかり選んでるのだから毎年の楽しみとなっている。

「はいはい、用意するよ」

 流石になれたもので冷蔵庫から箱を取り出す。カルガモの雛のように私は後ろについていく。
 中には、4号くらいの赤いケーキが入っていた。真っ赤で、なんというか強そうなケーキだ。

「これは?」
「ラズベリーのケーキだって。こないだラズベリーのお菓子食べて美味しそうにしてたから」

 そう言われて思い返すと、クッキーにラズベリージャムが載っているやつをバクバク食べていたことを思い出した。

「いいですね、ラズベリー!」

 よく見ると果実も乗っていて、甘酸っぱくて美味しそうだと思う。

「じゃあ、切るね」
「あっ、待ってください」

 ケーキの綺麗さに見惚れてるうちに包丁を取ってきたらしいコウさんがケーキの前にたつがその前にスマホを持ってくる。

「写真撮って、ゆかりさんに自慢しとかないと」

 そういうと少し笑われる。

「お祝いとかじゃないんだ」
「それは0時に二人で言い合ったので」
「仲良いね」
「はい」

 そんなふうに会話をしながらベストな位置で写真を撮って速攻ゆかりさんに送る。

「よし、オッケーです」

 バイブがなってるが今は無視だ。
 ケーキに刃が入ると中からベリーソースのようなものが少し垂れてくるが、それをそのまま包丁で皿に移すと渡してくる。

「ふぉー」
「はい、どうぞ」

 そう言って渡されたケーキに少し感動しながら彼の分も用意されるのを待つ。

「じゃあ、いただきます」
「いっただきまーす」

 手を合わせて、フォークで一口大にして頬張る。
 甘酸っぱくて、チョコが入ってたようで甘くて、でも甘すぎなくて素敵だと思った。

「幸せです」

 そう言って笑う。

「よかったね」
「はい」

 幸せになりながら食べてるとケーキはすっかり別腹に収まった。

「来年も美味しいの楽しみにしてます」

 ついそういうと皿を持って立ち上がり軽くチョップをされた。

「取らぬ狸の皮算用」
「ちぇー」
「ほら、皿洗って歯磨きして寝るよ」
「はーい」

 給湯器のスイッチを入れて水がお湯になるのを待ちながらふとクリスマスにもこんなやり取りをするのだろうかと考えて、幸せだろうななんて思った。
 クリスマスだけじゃなくて、来年もできたらいいけれどやはりそれは取らぬ狸の皮算用ということで、考えないことにしておこうとと思った。

2021年12月22日公開
2022年12月23日更新